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「Sonic Flower Groove」ボビー曰く、己の恥部。されど傑作。

Sonic Flower Grooveボビー・ギレスピーという人ほど、年代によってその音楽スタンスをころころと変化させてきた人はいない。
それはまるでカメレオンの様にその時代のカラーと自らの感性を巧みに同調させてきた彼ならではの卓越したセンスと、徹底した音にたいする嗅覚の為せる業なんだろうと思う。
そんな彼が唯一打ち消したい過去、つまりは自らの恥辱と語るのが本作『Sonic Flower Groove』ということになる。
ここで鳴らされるメリーチェインからギターノイズをとっぱらったかの様なひたすらに美しい楽曲は60年代のバーズを彷彿させる素晴らしさ、あの名盤と名高いストーン・ローゼズの傑作1stへと時代の流れが続いているように受け取ることもできる。

もちろんそんな事は抜きにしても個々のメロディの素晴らしさはボビーのキャリアの中でも郡を抜いている。「Gentle Tuesday」「May The Sun Shine Bright For You」「Sonic Sister Love」「Imperial」「Love You」「Aftermath」といった名曲群を聴くにつけ、いつも「何故、ボビーはこの作品を全否定するのだろう?」という疑念に駆られてしまう。

おそらくは彼の中でこの作品で《美メロへの執着》が消え失せてしまったのではないか?
簡単に言うと飽きちゃったんだろうと今の僕は思うことにしているけれど。
そう考えるとこれ以降の『スクリーマデリカ』に代表されるリズムトラック主体の抜本的な変化も頷ける。

いや・・もしかしたら単にジャケの自分が(今とあまりに違いすぎて)恥ずかしいだけなのかもしれない・・。
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