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PET SOUNDS 10年ごしの邂逅

Pet Sounds  [from UK] [Import]気がついたら30歳になっていた。立派に人生の折り返し地点に立っている。
(能動的に人生を楽しめるという点において僕は人生は60年と考える)
思えば・・・というか特にこの10年間の自分の人生を振り返ると様々な変遷があったのだけど、(それは追々書いていくとして)その中で変らずに好きでいられたのが音楽、とりわけロックミュージックだと思う。
僕がここで語るまでもなく音楽のチカラは偉大である。自分の思い出を振り返るとき必ずといっていいほどその当時よく聴いていたものがフラッシュバックされる。当時の感情の揺れと共に…。

そういった瞬間を経てなお僕の心に色褪せることなく在り続ける音楽が存在する。それらは間違いなくこれから何かにつけて聴き続けていくことができる作品群。勿論、名盤と呼ばれるものも含まれる。

『名盤』。そう呼ばれるものには一言では片付けられない理由がある。それが、たとえ当時それらを聴いていた人々からするとあまり深い意味をもたないものだったとしても10年、20年という時を経てスタンダードとして輝きつづける作品というのは実に不思議な輝きを放つものだなと感心せずにはいられない一枚がある。

『PET SOUNDS』今日はこれについて書こうと思う。

これを初めて聴いたのは10年程前、19歳の頃。ご存知の通りブリットポップど真ん中の時期、OASISが『Definitely Maybe』『Morning Glory』で一気に英国を席捲し、ブラーも『Parklife』収録のGirls&BoysやEnd Of A Centuryで英国気質を前面に押し出しつつもきっちりコマーシャルなパフォーマンスをとっていたご時世。御多分にもれずその恩恵に与っていた当時の僕にとって『PET SOUNDS』はあまりにも難解な音楽だった。いや正確に言えば必要のない音楽だったと言える。そもそも『PET SOUNDS』という音楽はブライアン・ウィルソンが自分の小宇宙(コスモですねBy聖闘士星矢)を最大限に燃焼した、…いや失礼。
脳内宇宙とでも呼べる、自らの可能性を細部に至るまで構築していくと言う非常に内省的かつ野心的な作品であった。それは自分たちのパブリックイメージであるサーフィン・ホットロッドとも無縁であることからも窺える。勿論そんな背景も音楽的信条も持ち合わせていない、ましてやoasis最高!!リアム最高!!と声高に叫んでいた当時の僕には「よー分からんけど、ナヨナヨしてんなぁ」と一蹴、早々に中古屋送りとなる。

ところが。
一年程前にひょんなことから購入した本作を聴きなおしてみると、これがなかなか興味深い。多少長くなるけど解説してみる。

まずは冒頭『Wouldn't it be nice(素敵じゃないか)』のハル・ブレインの“ドンッ”というドラムの一発で脳内宇宙への扉が開く。と思いきや『You still believe in me(僕を信じて)』で高らかに唄われるブライアンのファルセットと自転車のベル!?の後になだれ込むコーラス。……素晴らしいじゃないですか。

M3とM4の佳曲を挟んで『I'm waiting for the day(待ったこの日)』で最初のクライマックスへと突入する。
「Let's go away for a while(少しの間)」でのしばしの休息の後、従来のファンも納得な名曲「Sloop John B」。(でもこれってトラッド・ソングのカヴァーなんですよね。提唱者のアル・ジャーディンが唄ってないのが不思議。)

 そしてアナログ盤だとB面に突入。ここで本作はいきなりのハイライトを迎える。“神の歌声を持つ”とされるカール・ウィルソンの『God only knows(神のみぞ知る)』だ。ロック史上に初めて歌のタイトルに「神」が登場するこの曲はカール・ウィルソンという稀代の歌い手を得ることで“永遠” を約束されたと僕は確信する。因みに彼が唄うものの中では『Good Vibrations』と並んで至高の名曲とよんで差し支えないと思う。

M9を経てやっとマイクの桧舞台もやってくる。M10『Here today』。あのポール・マッカートニーも絶賛したと言われる不思議なベースラインと複雑なコード展開は当時のブライアンの気力がいかに充実していたかを物語る傑作。M11はまずタイトルがスゴイ。『I just wasn't made for these times(駄目な僕)』ですよ…。前曲でアグレッシヴなスタンスをとっているにもかかわらず、この曲で急に内省的な自分を曝け出してしまえる。これがブライアンの書く曲の魅力でもあり後の『SMILE』(2004年まで)の挫折に繋がるのかなぁと穿った見方をしてしまう。ここからタイトル・チューンの M12を経てM13『Caroline no(キャロライン・ノー)』で彼の内省の旅は終わりを告げる。一説によるとキャロル・アイ・ノーをブライアンが聞き違えてこのタイトルをつけたとも言われるブライアン初のソロ。ハイスクール時代のガールフレンドをモチーフに描かれる喪失感や寂寥感が漂うこの曲は、最後に犬の鳴き声と警笛、電車の音で”唐突に”幕を閉じる。………沈黙…………。

実は、今まで長ったらしくアルバム解説(感想文)してきた僕がもっとも言いたいのはこの“沈黙”なのである。『Wouldn't it be nice(素敵じゃないか)』で開かれた“アッチ側”の扉をブライアンは『Caroline no(キャロライン・ノー)』で唐突に幕を引いてしまう。訳の分からない犬の鳴き声(マイクはコレを指して犬に聴かせる音楽と揶揄したんだろうか?)と電車の音と共に…。

最初これには参った。「どうしていいか分からないじゃないですか、ブライアン」て感じである。気が付くとある種戸惑いに似た虚無感にリスナー側(僕ですね)が引き込まれている。
そして僕は再びプレイボタンを押すのだ。訳も分からずただ、胸のモヤモヤの訳を知りたくて。ブライアンは再び唄い出す。―素敵じゃないか―とね。……再び扉が開く。

多分、こうなってくるとブライアンの思うツボなんだろうと僕は思う。『PET SOUNDS』という作品のもつ最大の魅力は、人間誰しもが持っている悩みや弱さ、傷つきやすさをロックミュージックというフォーマットにのせて唄う事が出来るブライアン・ウィルソンという人間の魅力にそのまま集約される。とりもなおさず、このことはThe Beach Boysの音楽そのものに当てはまるけれど。

10年前と今では置かれている状況や僕自身の考え方自体が随分変わってきているからかもしれない(それは後に書くとして)。それでも、やはり10年ごしの邂逅を果たした『PET SOUNDS』は素晴らしかった。名盤というのは不思議なもんである。
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